いさり火では、館内に季節ごとの美を取り入れるため、毎月テーマを変えて陶芸や工芸の作品を展示しております。四季の移ろいとともに作品も入れ替わりますので、ご来館のたびに新しい発見をお楽しみいただけます。

現在、ダイニング「然」では彫金作家・岡原有子さんの作品を展示中です。
旬の山海の幸をふんだんに盛り込んだ会席料理を召し上がりながら、テーブル越しにきらめく金属の造形美を間近でご覧いただけます。

彫金とは、金・銀・銅・真鍮などに打ち出しや象嵌（ぞうがん）、彫りといった技法を施し、模様や立体感を生み出す日本の伝統技術です。たとえば、打ち出しの技法では表面に柔らかな凹凸が生まれ、象嵌では文様を埋め込むことで色の対比が際立ちます。こうした手間と感性が重なり合うことで、金属とは思えない温かみのある表情が生まれるのです。

岡原さんの作品は、用途に合わせて専用の鏨（たがね）を鍛え、素材の性質を読み取りながら一点ずつ丁寧に制作されています。どの作品も金属の硬さを忘れさせるほど柔らかな曲線をまとい、眺めていると静かな余韻が広がります。

食事とアートが響き合う時間は、旅の思い出をより豊かなものにしてくれることでしょう。
どうぞごゆっくりと、いさり火ならではの美食と芸術の融合をご堪能ください。

— ダイニング「然」—
お食事に卓上囲炉裏のメニューがあり、伊豆ならではの海や山の食材を、焼きたてで召し上がっていただけます。
お部屋食とはまた違った趣で、落ち着いた時間をお過ごしいただけます。
➡ ダイニング「然」季節のお品書き